【ブログ】2021年のテーパリングが日経平均に与える影響、日経平均やTOPIXは下落するのか?

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2021年8月6日(金)に発表された7月分の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が87.0万人の予想を上回る94.3万人増(今年最大)、失業率は1か月で5.9%→5.4%に大幅改善、このまま米雇用統計の改善が続けば、年内にもアメリカでテーパリング開始の可能性が高まってきた。

 

2021年9月22日(水)にアメリカで行われたFOMCでは、資産購入プログラムの縮小(テーパリング)につて、ついに11月の開始を示唆。FRBのパウエル議長はFOMCの記者会見にて、来年の中旬頃までにはテーパリングを完了し、2022年内にも利上げの可能性についても言及した。

目次

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テーパリングが日経平均に与える影響、日経平均やTOPIXは下落するのか?

■日経平均の過去の株価推移

日経平均株価は2012年12月のアベノミクス以降、8,600円→15,942円まで右肩上がりで上昇。2013年に当時のFRB議長であるベン・バーナンキ氏がテーパリングについて言及すると、日経平均は2013年5月23日に前日比1143円安(サーキットブレーカー発動)の大暴落が引き起こされるが、その後も上昇トレンドを維持して2013年12月にバブル崩壊後の最高値を更新。2014年1月から2014年10月頃までテーパリング相場に突入する。

2014年のテーパリングでは日経平均が高値から14%以上暴落した

2014年にアメリカでテーパリングが実施された時は、日経平均が大きく下落するタイミングが2回あり、一回目の下落は2013年12月27日(大納会)~2014年2月4日までの約36日間で約14.05%(約16,300円→約14,000円)の暴落、二回目の下落はテーパリングの終了間際である9月25日~10月17日までの約22日間で約11.29%暴落した。

2013年の日経平均はアベノミクスの影響もあり、株価は1年間で+58.58%の大暴騰を達成したが、2014年はその反動で海外勢による先物への売り仕掛けや利確売り、米金融緩和の縮小によるテーパリングで年初から-14%以上の大暴落を記録。

5月に一旦底打ちした株価は9月下旬頃まで+17.32%上昇するのだが、テーパリングの終了間際の10月に再び約11.29%下落。

2014年10月31日に日銀が追加緩和を決定したおかげで、その後の日経平均は約8か月間で+44.36%上昇したのだが、日銀の追加緩和がなかったら日経平均は16,400円の壁を超えられずに長期間低迷していたかもしれない。

過去 2014年のテーパリング期間中の日経平均の値動きについて
■日経平均はテーパリングの「開始直後」と「終了間際」に下落しやすい。
■NYダウの下落率が平均8%前後なのに対して、日経平均の下落率は平均12%~14%前後。
下落の期間は22日~36日前後。
■日経平均は一度株価が下落すると、再び上昇トレンドに転換するまで3か月以上かかる。
■日経平均を買うならNYダウが底打ちしてから1週~2週間待ったほうがいい。
■テーパリング開始直前の日経平均が28,000円前後だとすると、最大4,000円程度(−14%)の下落は想定しておいたほうがいい。

過去のチャートを参考にすると日経平均が25%以上の大暴落を記録するのは、リーマンショック・東日本大震災・コロナショック級の悪材料が必要なので、テーパリング単体では日経平均が最大下落しても高値から15%以内に収まると予測される。

日経平均が20%以上の暴落を引き起こすとしたら、中国の不動産バブル崩壊が材料として考えられるが、最低でも半年~1年程度かけて下落すると思われるので、直近のテーパリング相場ではそれほどリスクを懸念する必要はないと思う。

テーパリングでTOPIXはどこまで下落するのか?

テーパリング期間中のTOPIXの値動きは日経平均と連動、2014年のテーパリングではテーパリング開始直後の1月23日~2月4日(約12日間)に約12.73%の暴落、そしてテーパリングの終了間際である9月25日~10月17日(約22日間)に約12.41%の暴落を記録した。

2014年のTOPIXの値動きの特徴としては、1月の高値から12%以上暴落した後、いったん半値戻しするが5月頃まで株価が低調に推移する。TOPIXは5月下旬に底打ちした後、上昇トレンドへ転換するが、テーパリングが終了する9月下旬頃に再び12%前後の下落を記録する。

2014年のテーパリング期間中のTOPIXの値動きについて
■TOPIXはテーパリング「開始直後」と「終了間際」に下落しやすい。
■前回のテーパリングでTOPIXは平均12.50%前後下落した。
下落の期間は12日~22日前後。
■TOPIXは一度下落すると再度上昇トレンドへ転換するまで4か月ほど掛かる。
■TOPIXは3月の配当取りに向けて海外勢の売り仕掛けを警戒すべき。
■2021年のテーパリングでは高値から10%~12%前後の下落を警戒すべき。

 

【FOMC】2021年のテーパリングはいつ実施されるのか?

アメリカの中央銀行であるFRB(米連邦準備理事会)の会合(FOMC)が2021年11月2日(火)~11月3日(水)にかけて開催される予定で、テーパリングの開始が発表されるとしたら11月3日(水)が最有力。

※当初は12月14日~15日のFOMCでテーパリングが発表されると予測されていたが、予想以上に雇用の回復が進む&供給不足によるインフレ懸念が想定以上に長引く話が出てきたので、想定より早く金融緩和の縮小が進む可能性が出てきた。

 

日本市場は2021年11月3日(水曜日)が文化の日で休みなので、テーパリング相場の暴落に備えるなら11月2日(火曜日)までにポジション調整を終わらせたほうがいい。日本では10月27日(水)頃から本格的な第2四半期決算シーズンも始まるので、それに合わせた投資戦略を建てるのがおすすめ。

日経平均やTOPIXはどこまで下落するのか?テーパリングによる影響は10%~12%前後か?

今回のテーパリングではアメリカのFRB(連邦準備銀行)が国債の買い入れを縮小するだけで、市場に供給している資金を本格的に引き締める「利上げ」を行う訳ではないので、おそらくテーパリングが開始されても日経平均やTPOIXの下落幅は最大で10%~12%以内に収まるのではないかと考えている。

 

既に日本国内では日銀が東証ETFの買い入れを止める「実質テーパリング」が開始しており、日経平均株価は2021年2月16日(火)の30,467円(年初来最高値)→から、2021年8月20日(金)の27,013円(年初来安値更新)まで約11%下落しているので、アメリカが実際にテーパリングを開始したとしても、日経平均の下落は10%程度で済むのではないかと思っている。

例えばテーパリング直前の日経平均株価が30,000円前後だとすると30,000円→27,000円(−10%)、27,000円前後だとすると27,000円→24,300円(−10%)前後が一つの目安。

 

日経平均のEPS(1株当たりの純利益)は2019年の1,800円から2021年は2,145円(※8月時点)に上昇しているので、日経平均株価が24,000円まで下がるとPERが11.2倍まで下がることになる。ここ最近でPERが11倍を割るまで売り込まれたのは2018年に起きたチャイナショックの時だけ。

過去7年間の平均PERが12倍~13倍で推移していることを考えれば、日経平均24,000円(PER 11.2倍)は相当割安な水準。例えばPER 12倍~13倍まで買われるとしたら日経平均株価は25,740円~27,885円が適正価格。

 

テーパリング開始直前の日経平均がいくらかにもよるが、過去のチャートを参考にするとテーパリングの開始で最低でも10%程度の下落調整は想定(中国関連など他の悪材料が重なると15%前後の下落)しておいたほうがいいかも知れない。

※9月頃からは中国の不動産大手「恒大集団」の経営破綻が問題視されている。

2021年のテーパリング相場で考えてる戦略
■日経平均やTOPIXはテーパリングの「開始直後」と「終了間際」に下落しやすい。
■日経平均やTOPIXの下落率は最低 10%前後を想定。
■個別株を買うなら下落が始まってから20日~30日ほど待つのがおすすめ。
■月末の最終取引日は株価が下落しやすいので狙い目。
■日経平均は一度株価が下落すると、再び上昇トレンドに転換するまで3か月以上かかる。
■個別株を買うならNYダウが底打ちしてから1週~2週間待っても遅くはない。
■PERが11倍まで売り込まれるとしたら日経平均は24,000円まで下がる。

【結果発表】2021年11月のテーパリング相場まとめ

アメリカでは2020年のコロナショック以降、米経済を支えるため毎月1,200億ドル(約14兆円)以上の米国債住宅ローン担保証券を購入していたのだが、経済や雇用が順当に回復したことから、2021年11月にこの国債の買い入れを縮小する「テーパリング」を開始した。

この結果、NYダウはテーパリングの影響で11月に直近の高値から約6.7%の下落、S&P 500は約4.6%、日経平均は約7.8%、TOPIXは約6.9%程度下落した。

当初の予測ではテーパリングの開始で日経平均は約10%~12%下落すると思ったが、結果は日経平均 約29,880円→27,580円(−2,300円/−7.8%)となった。

2022年1月 利上げの加速&QT(量的緩和の引き締め)懸念で日経平均は約11.3%の暴落

2021年11月のテーパリングでは日経平均株価はそれほど下がらなかったのだが、年が明けた翌2022年1月の日本市場は、世界中で止まらない物価の上昇に対応するため、アメリカのFRBが金利の上昇を0.25%→0.5%に加速させたり、これまでじゃぶじゃぶお金をばら撒いてきた金融政策を方向転換して、量的緩和の引き締め(QT)を当初の予定よりも1~2年前倒しで開始することを発表した。

※2021年1月の米消費者物価は前年同月比7.5%上昇、約40年ぶりの高い伸びを記録した。急激なインフレ(物価高騰)は経済の混乱につながるため、インフレを抑えるため、早急に利上げが必要になった。

NYダウは約10.2%、日経平均は約11.3%の暴落を引き起こした

この結果NYダウは1月5日(水)~1月24日(月)の19日間で、約37,000ドル(史上最高値)から約33,200ドルまで約3,800ドル(−10.2%)の暴落。日経平均は1月5日(水)~1月27日(木)の22日間で、約29,400円→26,000円まで約3,300円(−11.3%)暴落した。

テーパリング相場の予想は外れたが、利上げ相場では想定通り日経平均が直近の高値から約10%~12%下落。さらに日経平均はその後、2月24日(木)に発生したロシア・ウクライナ戦争の影響で、24,700円(−15.8%)まで下落。

テーパリング後の日経平均は最大で24,000円前後(コロナショック前の最高値)まで下落すると想定していたが、ほぼほぼ予想通り(誤差±2.7%)の範囲まで株価が下落した。

 

■過去のチャートからも「テーパリング」や「利上げ相場」のときに日経平均やTOPIXは、最低でも株価が12%前後下がると想定しておいたほうがいい。これに中国の不動産バブル崩壊や戦争など他の悪材料が重なると、さらに株価が下落する可能性があるので、そこは注意して取引したほうがいい。

マザーズ銘柄は1か月で30%以上の暴落

2022年1月の暴落で特に酷かったのがNVIDIAやAMDといったアメリカのグロース株と日本のマザーズ市場で、これらの銘柄は1か月で株価が30%以上の暴落。メルカリ(4385)は2か月で株価が50%~60%近く下げたり、2020年3月のコロナショック以降、上昇しまくった銘柄がボコボコに売り込まれたのが印象的だった。

これらの銘柄は2021年11月頃から値動きが怪しかったのだが、グロース株(高PER/成長株)は利上げが実施されると株価の価値基準が変わるので、利上げ前後の数か月間は注意して取引しないといけない。

※マザーズ銘柄の暴落は2022年4月の東証市場再編でマザーズ市場がなくなるのも関係していた?

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