2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争と、2月~3月末までの日経平均株価の値動きをまとめてみる。
目次
2022年2月 ロシア・ウクライナ戦争の経緯を簡単にまとめ
2022年2月24日(木)にロシアがウクライナに軍事進攻を開始。開戦当初は3方向から首都キエフを目指して電撃作戦を実施。始めは1週間程度で首都を制圧して侵攻が終わるのではないかと思われていたが、ウクライナ国民の予想以上の抵抗にあい、戦争状態が1か月以上続く泥沼状態に。
ロシアがウクライナに攻め込んだ理由としては、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟して欧州との緩衝地帯がなくなることを懸念したプーチン大統領が、ウクライナに戦争を仕掛けたのが要因。中国の北京で開催された冬季オリンピックが終了したら、ロシアが何か行動を起こすのではないかと以前から予測はされていたが、実際に攻め込むとは世界各国も思っていなかった。
ロシアがウクライナに軍事進攻した2月24日~3月31日の日経平均株価の値動き
■1月4日(火)~3月9日(水)日経平均株価は年初から約2か月で−15.7%(−4,600円)の暴落
・2月24日(木)ロシアがウクライナに侵攻開始 日経平均 25,970円 年初来安値を更新。
・3月4日(金)ロシアがウクライナにある欧州最大級の原子力発電所に対して攻撃を仕掛ける。ザポロジエ原子力発電所で火災発生、稼働中の原発は3号機と4号機。火災が発生したのは原子力建屋とは別の建物で、原発の安全性に問題なしという。日経平均 25,985円
・3月9日(水)の日経平均は24,717円まで下落。3月の第2週(3月7日~3月11日)は海外勢が現物株を1週間で約1兆円の売り越し。MSQ前に日本株は大きく下落しやすい傾向がある。日経平均は今年の年初来安値を記録。
※海外で戦争が発生すると日経平均株価は1か月で10%~12%前後下がる傾向がある。
↑2022年3月9日(水)日経株価24,700円(−4,600円/15.7%)で年初来安値更新。※編集ミスで文字がチャートに被って申し訳ないです。
■日経平均株価は全く好材料がないのに3月中旬の最安値から約2週間で14%(+3,600円)の上昇
・3月14日(月)~3月18日(金)ロシアの停戦合意など特に好材料はないが、日経平均株価は1週間で27,400円まで上昇。底値からの上昇率は+11%。
・3月23日(水)日経平均株価28,040円(前日比+816円/+3%)まで上昇、空売りの買戻しと配当取りに向けた買いが重なって上昇した模様。日経平均株価は約2週間で3,000円以上(+13.6%)の上昇。3月の底値からの上昇率は+13.6%
・3月29日(火) 日経平均株価は28,252円まで上昇、3月の底値からは約2週間で+3,600円(+14.6%)の上昇。
・3月30日(水)まだ本格的な停戦合意には至っていないが、ロシア国防省次官がキエフなど軍事作戦大幅縮小を決定。2月24日の軍事進攻開始後、初めて停戦に向けての希望が出てきた。
【まとめ】ロシア・ウクライナ戦争が勃発した2022年1月~3月の日経平均株価の値動きをまとめてみると、日経平均は年初から約2か月で約15.7%(−4,600)の下落、2月中旬の高値からは約1か月で約11%(−3,100円)下落。過去のチャートを調べてみると海外で戦争が発生すると日経平均株価は1か月で10%~12%前後下がる傾向がある。
その後の日経平均はロシアの停戦合意など、市場に全く好材料が出てないのに3月末の配当取りに向けて約2週間で株価が+14.6(+3,600円)上昇した。3月の配当取りに向けて日経は最大25,000円→27,000円程度の上昇は想定していたが、こんな短期間で28,000円を突破するとは思っていなかった。
■3月9日に中国の中央銀行が「預金準備率」を引き下げによる追加の金融緩和策を実施したのが、ここが日経平均が反転上昇(相場の流れが明らかに変わった)した一つのきっかけになっている。
ここを起点にソフトバンクGは底値から+32%上昇(アリババグループの株価が底値から+50%上昇したのが大きい)、日経平均を押し上げる要因となっている。 |
日経平均株価が2週間で14%も上昇した理由、投資主体別 売買状況の分析
2022年3月9日(水)に日経平均が24,717円の年初来安値を付けたと、約2週間で28,300円まで約3,600円(+14%)上昇したのだが、一連の株高を演出したのは海外機関投資家や個人、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ではなく、証券会社や銀行など証券業を行っている「証券自己」が、約2兆円近い現物の買い越しを行っているのが株価急上昇の要因だった。
証券自己は毎年、配当月の3月と9月に1.7兆円~2.3兆円の買い越しをするのだが、それでも日経平均株価をここまで押し上げる効果があるとは思っていなかった。
3月22日~25日の投資主体別 売買状況では日本の個人投資家が日経26,000円前後で購入した約6,400億円(現物)を日経28,000円前後で約7,000億円売り抜け。売却益がちょうと約10%(総額600億円の利益)になるので、個人投資家は日経26,000円前後で買った現物を全部綺麗に売り抜けた感じ。
2020年~2021年の個人投資家の日本株の年間平均リターンが約+10%~11%程度。コロナショック以降、個人投資家の運用成績はいまのところ良い感じで推移している。
海外投資家は約3か月で2.3兆円の売り越し(コロナショック級)
海外投資家も先物は1兆円程度買い越しているのだが、現物は2022年1月~3月の3か月間で約2.3兆円も現物を売り越しており、2020年のコロナショック(1月~3月の3か月間で約2.7兆円の売り越し)に匹敵するペースで日本株を売り越している。
よく日本株は海外投資家が買わないと上がらないと言われているが、さすがに下がり過ぎたら国内の機関投資家による買いが入って株価は上がる模様。
3月の配当狙いで株価が上がりやすい環境が整っていたとしても、ロシア・ウクライナ戦争という非常に地合いが悪いなか、約2週間で日経平均が24,700円→28,000円付近まで暴騰するのだから、相場の世界というのは分からないものです。
【株価】日経平均 PER PBR 30営業日(ロシア・ウクライナ戦争)
日経平均 PERは3月9日に11.97倍にまで低下したのだが、配当取り直前の3月29日には13.58倍と平常時並みにPERが回復。
東日本大震災やコロナショック級の大暴落が発生するとPERは一時的に10.50倍付近まで下がることがあるのだが、1か月後にはPER 12.50倍まで回復していたり、日経平均 EPS(1株当たりの純利益)の動向に注意する必要があるが、PER 12倍以下は買い場だったりする。
日経平均 EPSは2,080円前後あるが、ロシア・ウクライナ戦争の影響が現れるのは4月末の本決算シーズンに以降になるので、ゴールデンウイーク前後の株価乱高下に注意したい。
【株価】2022年3月の騰落レシオ 30営業日(ロシア・ウクライナ戦争)
日経平均が年初来安値を更新した3月9日の騰落レシオ(6日)は35.60%と、通常は70%以下が底値ラインと言われるが、この日は値下がり銘柄がめちゃくちゃ多かった。日本株の騰落レシオ(6日)は50%を割ることが年に2~3回ある。
前日の3月8日の年初来安値安値更新銘柄が485社、1月27日に日経平均が年初来安値を更新した時の新安値銘柄が467社だったので、年初来安値更新銘柄が450社以上を超えてきたら底打ちが近いサイン。