楽天モバイルがFREETEL(フリーテル)を買収を買収した理由
携帯電話サービスの「楽天モバイル」を運営する楽天株式会社では、2017年11月1日付けでプラスワン・マーケティング株式会社から約5億円でFREETEL(フリーテル)を買収。
これにより楽天モバイルの回線契約数は約140万回線を突破し、MVNOとしてはNTTコミュニケーションズ(OCNモバイルONE)に次ぐ業界シェア第2位に躍り出た。
NTTコミュニケーションズではMVNEと呼ばれる事業者(MVNO)向けのサービスも提供しているため、もしかしたら純粋な個人向けの契約数では楽天モバイルが日本一かもしれない。
※MVNEとはMNO(移動体通信事業者)から回線を借りて更にそれをMVNO(仮想移動体通信事業者)に貸し出す中間卸業者のような存在。
最終赤字約55億円!債務超過寸前のFREETEL(フリーテル)
一方でFREETEL(フリーテル)を運営するプラスワンでは、2017年3月期の売上高が100億円なのに対し、営業赤字は53億円、最終赤字は55億円と債務超過寸前の状態だった。
FREETELでは極(KIWAMI)や雷神(RAIJIN)、MUSASHIなどFREETEL独自のスマートフォンを販売していてなかなか評判は良かったのですが
スマートフォンに関してはAppleやHUAWEI、ASUSなど海外メーカーが優勢で、国内では富士通がスマホの開発・製造から撤退するなど苦戦を強いられている。
MVNO事業に関しては元々格安の料金でサービスを提供しているため非常に利益が少なく、例えFREETELユーザーの殆どが極(KIWAMI)や雷神(RAIJIN)を購入したとしても、全体で20~30万個しか売れないだろうから、開発コストや広告・販促費の回収が難しく、FREETELが債務超過に陥ったのはある意味で必然とも言えます。
そんなFREETELを楽天モバイルは約5億円で買収した訳だが、同時に30億円近い負債もFREETELから引き継ぎ、この買収が楽天にとってどれほどのメリットがあるのか疑問も残る。
楽天が公表している情報によると、楽天モバイルの契約者数は2017年8月の時点で約100万回線。さらに今回のFREETELの買収でMVNO事業の回線数が140万回線を超えたそうで、ここから計算するにFREETELのユーザー数は約40万人前後と予想される。
※FREETEL買収時のユーザー数は約35万人と判明
■FREETEL買収における対費用効果
楽天では約35万人のFREETELユーザーをこの買収で確保して訳だが、買収に掛かった35億円で割れば契約者1人当たり約1万円のコストで獲得した計算になる。
それだけのユーザー数を楽天モバイルや楽天市場など、同グループの商業圏内に囲い込めるのだから、テレビ広告やマーケティングに掛かる費用を考えれば、約35億円(負債も合わせる)の投資も悪くない。
これから先、さらに楽天モバイルの契約者数が増え、MVNO業界No.1のシェアともなれば広告効果も大きい。2017年10月29日にサービス開始から3周年を迎えた『楽天モバイル』にとって長期的な展望を描くなら、これからもFREETEL(フリーテル)に限らず、他社のMVNO(格安スマホ)事業を買収・統合(M&A)していくかも知れません。
【参考記事】東洋経済「楽天が債務超過寸前のフリーテルを買う理由」
→http://toyokeizai.net/articles/-/190540