約1年で株価が35%上昇!ソフトバンク株 1,158円(上場来安値)→1564円(上場来高値更新)

SoftBank

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【2020年8月】携帯電話料金の値下げ問題で株価の下落が止まらないソフトバンク!

長年、携帯電話料金の値下げ問題で対立してきた菅 義偉氏が内閣総理大臣に就任して以降、株価の低迷が続く通信会社のソフトバンク(9434)

 

8月中旬には1500円近くあった株価が現在では1200円前後まで下落しており、直近の高値からは約1か月半ほどで株価が20%以上下落したことになる。

ソフトバンクの親会社であるソフトバンクG(9984)の株価は10月12日に7,175円を越え、約20年ぶりに高値を更新。時価総額も15兆円の大台を突破し、年初来安値からの上昇率は175%を記録。いっぽうで通信子会社であるソフトバンクの株価は年初来安値から3.3%ほどしか上がっておらず、同じソフトバンクグループに属する企業でも株価が非常に対照的である。

 

現在のソフトバンクの配当利回りは約7.2%(年間配当86円)で、東証一部上場企業のなかではランキング第3位の高配当。今年は新型コロナで多くの企業が軒並み大赤字に転落するなか、ソフトバンクの業績は比較的安定しているのに株価が最安値付近で低迷しているのは何故なのか?

 

ソフトバンクの株価が上がらない理由と今後の株価動向について、最近の情勢を分析しつつ解説してみた。

ソフトバンクの株価下落要因 その① ソフトバンクGが最大10億株(約1.47兆円/約20%分)の保有株を売り出しに。

通信会社のソフトバンクは2020年8月28日(金)に親会社であるソフトバンクグループ(投資会社)が、新型コロナ感染拡大による経済活動や株価の下落に対応するため、最大4.5兆円規模の資産売却プログラムの一環として、自社が保有するソフトバンク株の約21.7%に当たる最大10億2,806万株(時価総額1兆4,700億円相当)を売却することを発表。

 

この数日前から携帯電話各社は国からの携帯電話料金の値下げ要求により株価が下がっていたのだが、ソフトバンクは8月27日(木曜日)~9月1日(火曜日)の4営業日で株価が1,474円→1,365円−109円(−7.41%)の下落した。

 

【追記】9月14日に最大10億株の売出価格が1,204円に決定

2020年9月14日(月曜日)に最大10億株の売出価格が1,204円に決定されたと、ソフトバンクの企業IRで発表。これを受けて9月14日に1,242円(前日比−64円)の安値を付けたソフトバンク株は、2営業日で1,327円まで反発するのだが、結局、売り圧力のほうが強く、配当権利付き最終日の9月28日(月)まで1,242円前後の価格で低調に推移。

携帯電話料金の値下げ問題で株価が下がる前の1,474円(8月26日)を基準とすると、ソフトバンク株は約1か月で−231円(−15.70%)の下落。配当落ち後の最安値(1,158円)と比較するなら−316円(−21.45%)の暴落。

これを見ると配当前であれば売出価格+配当が株価の下限(1,204円+配当43円=1,247円前後)配当落ち後だと売出価格−配当(1,204円−43円=1,160円前後)が株価の下限の目安となりやすい感じがする。

(※あくまでこれはソフトバンク株の場合ではあるが、保有株式の売り出しで株価が下がった他の銘柄を取引きするときの判断材料になりそう。)

ソフトバンクの株価が上がらない原因 その② 携帯電話料金の値下げ問題

菅総理大臣が誕生して以降、携帯電話会社に対しての料金値下げ圧力は日々高まっており、新料金プランの内容が発表されるまでは料金の値下げがどれくらい業績に影響するのか計算できないため、株価が上がりにくい展開が続いている。

 

2020年8月4日に発表された第1四半期決算の内容は、スマートフォン価格の上昇により端末販売の売上が2年連続で減少しているが、その他のコンシューマ事業の売上高は伸びているため、今年の業績予想は前年並みと悪くないのだが

携帯電話料金が大幅に値下げされると現在1.7兆円近くある個人向けモバイルの年間売上高が大きく減少することが予測され、想定以上に料金の引き下げが行われた場合は、ここからにソフトバンクの株価が大きく値下がりしかねない状態なのである。

ソフトバンクの株価はいったいどこまで値下がりするのか?

携帯電話料金の値下げに絡む問題で下落中の、ソフトバンク株の下限を予測するには2018年10月に起こった「ドコモショック」の頃の株価チャートが参考になります。

2018年10月の大暴落ではNTTドコモやKDDIの株価が25%以上も下落した

2018年10月31日(水)の第2四半期決算発表会でNTTドコモが「携帯電話料金の4割値下げ+4,000億円規模の消費者還元」を発表したときは、翌日のNTTドコモやKDDIの株価が軒並み14%以上の大暴落を記録。

 

■2018年11月1日(木)の通信会社の株価

・9432日本電信電話:4,050円S(-700円、-14.74%)
・9437NTTドコモ:2,426円(-418.5円、-14.71%)
・9433KDDI:2,360円(-454.5円、-16.15%)
・9984SBG:8,310円(-738円、-8.15%)

通信セクターはこの一日だけで時価総額が4.9兆円も吹き飛び、通信セクター全体では1か月で株価が平均25%近く下落した。

結果論で言えばこの時の通信株の大暴落は「絶好の買い場」であった訳だが、今回も同程度の株価下落は覚悟しておいたほうがいいかも知れない。

「携帯電話料金4割値下げ」後のソフトバンクの業績予想

ソフトバンクの2020年度の売上高は4.9兆円で営業利益は約9,200億円、このうち個人向けモバイルの占める売上高は約1兆7,000億円、携帯電話とスマホの契約比率は3:7程度の割合である(2020年6月時点)

 

仮に現在のスマホ料金を一律1割値下げしたとすると年間の売上高は1,360億円減少、2割で2,720億円の減少。一律4割値下げだと5,440億円の売上高が消滅する計算。

 

大手携帯キャリアの営業利益率は平均20%前後と言われているので、最大5,440億円の売上が減少した場合、2022年度の営業利益は前年比-1,088億円程度の8,112億円になると予測される。

そうなった場合のソフトバンクの株価は1,100円を割り込み、今年の高値である1,500円から-30%の1,050円前後まで下落する可能性が出てくる。

ソフトバンクの株価は1,120円まで値下がりする可能性あり!

この時はまだソフトバンク(9434)が上場前だったのだが、仮に今回も携帯電話料金値下げ問題で2018年と同様に株価が下落したと仮定すると、ソフトバンクの株価は最大で1,120円(-25%)まで下落する可能性あり。

【結果発表】その後のソフトバンク(9434)の値動き(2020年8月~2021年9月)

2020年は新型コロナの影響で株価がかなり乱高下した年ではあるが、ソフトバンクの株価は2020年8月19日(水)に1,504円の高値を記録した後は、配当落ち後の9月30日(水)まで一方通行で下落。

最終的にソフトバンクの株価は1,500円を基準とすると約23%の下落配当落ち後の9月30日(水)に1,158円(年間配当 86円/配当利回り 7.42%)の上場来安値を記録して底打ちした。

この間のソフトバンク株の値動きのポイントとしては

①株価の下落は配当落ち後の月末最終取引日まで続いた。
②過去のチャートから株価の下落は1,500円から最大25%下落予想、実際の結果は約23%でほぼ予想通り。
③株価の下落は売出価格の1,204円から配当43円(中間配当)を引いた辺りで下げ止まり。
④当時は減配リスクが懸念されていたため、配当利回りの高さが買う理由にならない。
⑤この間の日経平均は23,000円~23,500円で推移、8月14日~10月30日まで安定。その後に新型コロナワクチンの開発に成功、経済活動の早期回復期待から2020年11月1日から2021年2月19日まで約3か月半で23,000円→30,000円まで約30%の暴騰。
⑥日経平均が再び23,000円→16,500円(最大−28%)の大暴落を記録した場合は、1,158円の上場来安値を割ってた可能性も想定される。
⑦ソフトバンクの株価は9月30日(水)の最安値を最後に、翌年3月の配当落ち日まで上昇した。

2020年はコロナショックの影響で相場が不安定だったので、1,158円の上場来安値を更に割り込む可能性もあったが、結果論ではあるが暴落したソフトバンク株を購入するタイミングとしては、配当落ち後から買い始めるのがベストだったと言える。

2022年3月期の第1四半期決算はギリギリ増収・増益を達成

ソフトバンクは携帯電話料金の値下げに絡んだ問題で、2021年3月から月額990円~月額2,728円(税込み)で利用できる格安携帯プラン「LINEMO」の提供を開始した影響で、収益の低下が懸念されていたのだが、2021年8月4日に発表された第1四半期決算では売上高・営業利益・純利益ともにぎりぎり増収・増益を達成。

NTT(日本電信電話)は格安料金プランのahamo(月額2,970円)に180万回線くらい乗り換えが進んでいる影響で、今年の売上高が2,500億円程度減少する見込み、いっぽうでソフトバンクのLINEMOは契約数が50万回線未満となっているため、売上高の減少は600億円程度になる予想。

現状では携帯電話料金の値下げによる収益への悪影響が想定よりは小さいので、一律に携帯電話料金の値下げをするよりは、オンライン契約専用と差別化することで、収益低下へのダメージを減らす、ソフトバンクの販売戦略の効果が出ていると言える。

【2021年9月7日(火曜日)】菅総理大臣辞任意向でソフトバンクがついに上場来高値を更新!

2021年9月の日経平均株価は8月20日にトヨタ自動車の4割減産報道で27,000円を一時的に割った後、わずか3週間足らずで27,000円→30,000円(+11%)まで一気に上昇、9月7日(火曜日)に30,048円の高値を付け、約5か月ぶりに日経3万円台に回復。

 

いっぽうで通信会社を取り巻く情勢としては、9月3日(金曜日)に携帯電話料金の値下げ問題で宿敵だった菅 義偉(すが よしひで)総理大臣が辞任の意向を発表したことで急上昇。NTTやKDDIが年初来高値を更新しそうな勢いのなか、ソフトバンク(9434)の株価も8月30日から7営業日で+100円(+6.53%)近く上昇。

9月7日(火)曜日時点の終値は1,564円と、2019年9月に記録した1,554円の最高値を超え、約2年ぶりに上場来高値を更新した。

ソフトバンクにとっては苦節の1年間だった

ソフトバンクは2020年9月28日の配当落ち後に上場来安値の1,158円を付けてから約1年、親会社であるソフトバンクGによる「最大10億株の売り出し」「菅総理大臣の誕生」で1,500円の高値から約1か月半で株価が−23.25%暴落した後、約1年かけて+35.07%上昇!

ソフトバンクのような高配当銘柄は株主に配当還元する分、資本が減るので、例えば株価が1,500円のままでも年間配当86円(税引き前)がもらえれば、株主にとっては実質1,586円分の価値があり、去年の底値付近でソフトバンク株を購入できていれば、1年間で40%近いリターンになっているはず。

9月の配当落ち後にソフトバンク株は再び1,500円を割るかも知れないが、1,554円(2019年の上場来高値)の天井を崩せた意味は非常に大きい。

 

ソフトバンクにとって1,564円はあくまで通過点、この先、5年10年単位で見れば株価2,000円超えも目指せる銘柄だと思っているので、日本の通信業界を支える企業としても、これからもソフトバンクを応援していきたいと思っている。

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