【第3次 オイルショック】原油大暴落?原油先物が史上初のマイナス価格へ突入した理由

株価

新型コロナによる経済活動の制限が続くなか、2020年4月20日(月)週明け月曜日のニューヨーク商業取引所でとんでもない事態が発生した。

 

世界にはWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)と呼ばれる、原油価格の取引基準にもなる北アメリカ産の高品質な油田があるんだけど、このWTI原油の先物取引が1バレル0円どころか、1バレル-37.63ドルという金融史上初のマイナス価格でこの日の取引を終えた。

 

目次

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WTI原油先物価格が史上初の0.00ドルを記録

ことの発端は2020年4月20日(月曜日)のアメリカ取引時間で、原油価格を決定する代表的な指標としてテキサス州とニューメキシコ州を中心とする北アメリカで産油される、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)があるのだが、この日のWTI原油先物価格は朝に1バレル17ドル台をつけてから1日中ずっと下落トレンドにあったのだけど

 

日付が変わって21日の午前1時(日本時間)に原油価格が10ドルを割り込み、1974年の第1次オイルショック以来、約46年ぶりの価格を付けたとおもったら、その後 8ドル→5ドル→3ドルとどんどん取引価格が値下がりし

ついに2020年4月21日(火曜日)の午前2時56分に1バレル0.00円(前日比-18.43ドル/-100%)という、歴史に残る大幅下落を記録。

 

普通のリアルタイムチャートだと0.01以下の価格が表示できなくてチャートが完全停止。

 

最終的にこの日のWTI原油先物取引は1バレル-37.63ドルという、人類史上初のマイナス価格で取引を終え、原油1バレル(約159L)を無料で購入できるうえに、おまけに37ドル(3,988円/ドル円 107.8円)が付いてくるという、通常では考えられない状況が起こりました。

 

私自身、原油価格が1ドルまで下がることは予測していたが、まさか先物商品の価格にマイナスがつくとは、しかも取引システムがちゃんとそれを想定されて作られていることに感心。

 

金融商品にマイナス価格が付くなんて初めての経験だったので、非常に貴重な体験ができた良い一日だった。

原油先物価格がマイナス価格に陥ってしまった原因

今回、アメリカ産のWTI原油先物が史上初のマイナスになってしまった原因は、新型コロナによる影響で世界的な生産活動の停止、人の移動の自粛などで現在、原油の供給量が過剰になっており、石油を精製しても全く消費されない状態が続いている。

 

原油先物というのは「5月限」「6月限」と1ヵ月単位で金融商品の決済が行われており、今回、価格が大暴落してマイナスにまで陥ったのは「5月限」のWTI原油先物。

 

原油というものはもともと商品の管理コストが高いほうで、原油を保管しておくための原油タンクの用意や、石油タンカーなどの輸送費用・人件費、長期間の貯蔵による品質劣化など、色々な面でコストが発生してしまう。

 

石油販売会社の貯蔵庫には消費されない原油でタンクが一杯となっており、このまま先物取引で予約しておいた原油を購入しても、販売先や使い道がないまま管理コストだけが重くのしかかる。

 

おまけに原油は買うと引き取る義務も発生するため、過剰な現物を抱え込みたくない投機筋や生産者が損失覚悟のうえでWTI原油先物を投げ売りした結果が、今回の状況を引き起こしたのである。

 

■原油価格が大暴落した主な要因をまとめるとこれ

①新型コロナの影響で企業の生産活動や人の消費活動が激減↓

②原油の需要が落ち込み、過剰在庫を抱える状態になる↓

③原油の保管にはお金が掛かるし、投機筋は現物の原油をもらっても意味がない↓

④取引期限のせまった「原油先物(5月限)」の投げ売りで価格が大暴落↓

⑤原油先物(金融商品)を処分するため、お金を支払ってでも相手に買い取ってもらいたい。といった感じでマイナス価格がついた。

 

6月限の原油先物価格は今のところ安定

事実、取引期限が6月の原油先物(6月限)は、取引時間中に多少価格が乱高下したものの価格は概ね21ドル前後で取引されており、こちらも来月の決済日になれば同じように大暴落する可能性が残っているが、今のところ6月限の原油価格は安定して推移している。

■2020年4月21日(火曜日)追記

昨日、史上初のマイナス価格を記録しておおきに盛り上がった先物原油市場だが、翌日の4月21日も大荒れ模様。

 

午前中は21.40ドル台で推移していた原油相場は、午後15時25分頃から売りが台頭。そして3時間後の18時34分に最安値11.88ドルと、一時的に半値近くにまで大きく値下がりした。

 

特に18時29分から18時34分までのわずか5分間で原油価格が3ドルほど下落。その後は15分間で6ドルも上昇するという「買い」も「売り」も狩りにくる乱高下。

今回はクリック証券証券のCFDで値動きを見ていたが、取引がたびたび停止したり、下手に大きなポジションを持つと含み損を大量に抱えることになる。

 

こういう値動きをする時は2,000万円の含み益が一瞬で500万まで減ったり、当然逆のポジションを持つとそれだけの損失がでるので、取引経験の知識が豊富な人ならいいが、こういう相場は初心者が絶対に手を出してはいけない。

 

↑ちなみに欧州時間である午後19時以降の値動きはこんな感じ。

 

↑最終的に4月21日(火曜日)のWTI原油先物相場は、4月22日午前2時45分に2番底の6.55ドルを付けるまで大きく下げ続けた。やはり前日の原油価格大暴落の印象は大きく、6月限の原油も売り込まれ、売りポジションで儲けるには絶好のチャンスであった。

午前2時45分に大底を付けたあとは、原油は13ドル台まで回復、リスクは高いが上手くやれば売り、買いの両方で利益が出せた。

新型コロナの影響が収束する見込みがでるまでは、6月限のWTI原油先物も5月限のようにマイナス価格(かなりの乱高下)が付く可能性があるので、長期の買いポジション詰み増しは絶対に止めたほうがいい。

 

ニューヨークダウは4月21日(月曜日)につけた24,000ドルの高値から、23,000ドルとわずか1日で1,000ドルほど下落。3月26日に18,000ドルの大底をつけた後、約1ヵ月近く上昇し続けたNYダウが、2番底の形成に向かって下降トレンドに突入した気がする。

 

■NYダウ株式市場は比較的安定

この日のニューヨークダウは前場は24,000ドル台の高値で推移していたのだが、原油相場の急落を受けて一時23,600ドルにまで約400ドルの下落。

ただNYダウは新型コロナで世界経済がやばいなか、前日に+700ドル近い上昇をしているので、値動きとしては普通に調整の範囲内。ドル円のレンジも1ドル107.600円~107.800円と騒動の割りには全く動かなかったと言っていいほど、値動きがなかった。

↑午前2時56分に原油価格が0.00円を記録した時もドル円は大して動かなかった

 

4月22日は原油先物価格(WTI)が史上初のマイナス価格というとんでもない記録を達成したが、株式市場の値動きにそれほど大きな混乱は見られなかった。

トランプ大統領がサウジアラビアからの原油輸入を停止

トランプ米大統領は20日、原油価格の歴史的な急落は短期的なものであり、「資金不足」に由来するとの見方を示した。また、原油価格下支えのため、米国はサウジアラビアからの原油輸入の停止を検討すると明らかにした。

引用元 日経新聞→https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58292270R20C20A4000000/

この日はアメリカのトランプ大統領がサウジアラビアからの原油輸入をしばらく停止することを発表したが、これも単に原油の消費先がないから、海外から原油を購入しても余剰在庫が積み増しされるだけで無駄になるから、ある意味当たり前の対応である。

 

【第3次 オイルショック】原油大暴落?原油先物が史上初のマイナス価格へ突入した理由

新型コロナ関連の影響で2020年4月20日(日本時間21日)に起きた世紀の原油大暴落は、ミクロで見ると原油価格が0円を通り越してマイナス価格がつくという金融史上初のとんでもない現象が起こったが、マクロ視点でみると5月限の原油(先物)がただ暴落しただけという、この状態が継続するとまずいが、短期的には株価や為替に大きな影響を与えるほどのショックではないと言うことである。

※今回投げ売りされたのは北アメリカ産の原油だけで、他の産油国の原油価格はそれほど下がっていないことも大きな混乱が起きてない要因の一つである。

 

それでも今回の出来事は非常に貴重な体験であり、過去にリーマンショックや東日本大震災を経験してきたが、非常時に相場はこういった値動きをすることが分かって有益な一日だった。

 

原油の買いポジを大量に持ってた人は散々な一日だっただろうが、「コンタンゴ」や「オーバシュート」といった原油の先物取引についての知識が増え、本当にいい勉強になりました。

 

■面白い記事

→【日経新聞】原油価格が急落 みんな怖がる理由とは(2020年3月24日)

 

【最大1,000万円の損失】原油の買いポジションを持って強制決済(ロスカット)されるとどうなるか分かる、オレ的ゲーム速報JIN管理人の貴重な体験動画(YouTube)

↑動画の内容としては原油価格が4ドルのときにDMM FXで250枚の買いポジションを持っていたら、原油価格の大幅下落でDMM FXが途中で取引停止状態になり、強制ロスカットにあった。損失自体はロスカットにより135万円程度ですんだが、原油-40ドルで決済されると最大で1,000万円の損失が出る可能性があった。

 

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