auでは2020年2月21日(金)から「かえトクプログラム」と呼ばれる、残価設定方式で端末を契約できる、新たなサポートを開始したのですが、これがまためちゃくちゃ複雑な内容で、初見だと本当に理解できない。
↑auの公式サイトに「かえトクプログラム」の詳細が掲載されているのですが、携帯電話会社特有の「注釈」や「注意補足」が多すぎて、もう少しシンプルで分かりやすい内容にしろよと毎回思う。
目次
そこで今回はauの「かえトクプログラム」をできるだけ分かりやすく解説してみた
「かえトクプログラム」の特徴を簡単に説明すると、端末の支払い方法を3つの中から選択できる仕組みです。
具体的な支払いイメージとしては、「①残債を端末の返却で支払う」「②端末を2年後に一括で購入する」「③48回払いで分割購入」といった、この3つの中から好きな方法で、利用者は端末の支払いを選択することになります。
「①残債を端末の返却で支払う」について解説
「かえトクプログラム①(残債を端末の返却で支払う)」では、対象のスマートフォンをau取扱店で購入後、25か月後に新しい機種を購入後、使っていた旧機種をauに返却すれば残りの残債の支払いが不要になるという方法。
96,600円の端末を実質57,960円でレンタルできるが・・・
例えば96,600円の機種を購入する場合、毎月の端末代は2,520円×23回=57,960円となり。2年後の25か月目に「①auが指定する新機種への買い替え」+「②旧端末の返却」をすれば、残りの残価 38,640円分の支払いが不要となる感じ。
※57,960円(実質支払い分)+38,640円(端末を返却すれば免除)=96,600円(合計金額)
要はいままでのサポート購入プログラムと似たような内容で、端末の「返却」を前提として値引きが設定されているので、「端末を2年間の契約でレンタルする」ようなものと思っていい。
「かえトクプログラム①」の値引き率は約33%~41%に設定されているのだが、例えば10万円の端末を6万円でレンタル(2年間)できると考えた場合、この金額を見て利用者はお得と思うだろうか?
※(^o^)わ~い!10万円もする最新機種が6万円で借りられる!
故障端末の返却には追加で22,000円の回収費用が発生
しかも「かえトクプログラム①」は旧端末の返却時に端末が「故障」「破損」「液晶の割れ」「水没」等の状態だと、追加で22,000円の費用を支払う必要がある。つまり契約したiPhone 11など液晶画面にちょっとでもヒビが入っていると、割引きを受けるために余計なお金を支払うという本末転倒具合。
端末の故障に関しては「故障紛失サポート(Android向け)」に加入してれば費用が2,200円に減額されるのだが、結局、故障紛失サポートの利用にも月額630円の利用料金が掛かるため、2年間の契約だと630円×24か月+消費税=16,632円。
返却端末が破損していた時の追加費用は合計18,832円と、サポート未加入の状態とさほど差がない。
破損や液晶画面が割れてしまったスマートフォンは返却せずにそのまま使い続けることも可能だが、それだと割引きが受けられず端末の全額負担という、「かえトクプログラム」はどう転んでもauが儲かる仕組みとなっている。
「かえトクプログラム①(残債を端末の返却で支払う)」の特徴まとめ
かえトクプログラム①(残債を端末の返却で支払う)の特徴をまとめると。
①端末は実質「レンタル」で旧機種の返却が必要。
②次回の新機種購入が条件なのに33~41%という低い値引き率。
③故障端末の返却には22,000円の追加費用が必要。
④条件次第で支払い免除が適用されない可能性もあり(つまり端末代の全額負担)
「かえトクプログラム①」は割引きを受けるために端末の返却が必要なため、実際には購入契約ではなくレンタル契約に形が近い。一応、「端末を返却しない」選択肢も利用者は選べるものの、それだと割引きが受けられずに全額負担となる点に注意。
2年毎に最新機種を購入するようなユーザーにとっては、まぁ、メリットがある仕組みかな?破損や画面割れに相当気を遣ってスマホを使わないといけないけどね。
「②端末を2年後に一括払いで購入する」について解説
「かえトクプログラム②(端末を2年後に一括で購入する)」では端末を24回払いの分割方式で購入することができます。
例えば96,600円の機種を契約する場合、1か月目~24か月目で57,960円(2,520円×23回)の端末代を支払い、最終回支払い分(24回目)となる25か月目に残りの残債 38,640円を一気に支払う形になります(57,960円+38,640円=96,600円)
今までの分割払いと違うところは24回均等に端末代が分割されるのではなく、最終回(24回目)の支払い負担が大きくなるという点。
さらに「かえトクプログラム②」では端末の割引きが一切ないようで、96,600円の機種を購入する場合、割賦金 2,520円×23回+38,640円(最終回支払分)=合計96,600円と、利用者は端末代を「全額負担」で購入することになる。
↑「新しい機種への買い替え」+「端末の返却」をしなければ24回目(最終回)の支払いが免除されないため全額負担となる。
※「かえトクプログラム②」の値引きは一切ナシ!※2020年2月時点の情報
「③48回払いで分割購入」について解説
「かえトクプログラム③」では、対象のスマートフォンをau取扱店で購入後、25か月目に最終回支払い分を再度24回部活にして支払うイメージ、つまり「端末を実質48回払いで購入する」といった形になります。
例えば96,600円の端末を購入する場合、1か月目~24か月目で2,520円×23回=57,960円を支払い、残りの残債 38,640円(1,640円×24回)を25か月目~48か月目で支払い、合計金額は96,600円となる。
「かえトクプログラム②」が25か月目に残価(38,640円)を一気に支払いを完了させるのに対し、「かえトクプログラム③」では38,640円をさらに24分割(1,610円×24回)して、48か月かけて端末代を支払う感じになる。
そして「かえトクプログラム②」と一緒で端末の値引きが適用されず、機種の購入代金を丸々全額支払う必要が出てくる素晴らしい内容。
一応、25回~48回払いの途中でも新しいスマホに買い替えれば、その時点での残りの残価(変動制)の支払いが不要になるようだが、これって同じ端末を長く大切に扱うユーザーほどメリットがない。
高額な利用料金を支払い続けてくれるうえに端末も全額負担で購入してくれる、auにとってこれほど最高の「上客(高額の商品を買ってくれる大切なお客)」はいないだろう。
2020年2月に申し込みの受付が終了する「アップグレードプログラム」との違い
「かえトクプログラム」の登場にともない、auの「アップグレードプログラム」は2020年2月に新規の申込受付が終了する。
アップグレードプログラムとは2年後にご利用機種を返却すれば、機種代金が「最大半額」になる購入サポートプログラム。後に条件が改変され割引き金額は最大3分の1(アップグレードプログラムNX)になった。
「アップグレードプログラムNX」との比較(2020年2月時点)
2020年2月時点でのiPhone 11(64GBモデル)の価格は90,720円(税込)、「アップグレードプログラムNX」を適用時の実質負担金は60,480円。2年目に端末を返却することで残り12か月分の支払いが免除となる。支払い回数は36回、契約期間は38か月。
いっぽうで「かえトクプログラム」では90,720円(税込)のiPhone 11が、支払い総額53,935円(税込)、端末を返却すれば残価 36,785円の支払いが不要となる。本体価格に対する割引き率は約41%。
「かえトクプログラム」のほうが実質 6,545円ほど安くiPhone 11(64GB)を購入(実質レンタル)することができる。
ただし「かえトクプログラム」には残価免除の条件に「新機種の購入」が付与されているため、次回に購入する機種にもよるが、実際の費用負担は「かえトクプログラム」のほうが大きくなる可能性が高い。
auの企画担当者も「アップグレードプログラムNXよりも、負担感が減ってお求めやすくなっている」といっている。つまり負担「感」は減るが、負担は減らない。ネットの取材記事を読んでも「かえトクプログラム」で安くなるとは絶対に発言しないんだよね。
auの「かえトクプログラム」のデメリットや注意点についてまとめ
日本では総務省の指導により「新機種の値引きは最大2万円まで」という事情があり、携帯電話会社も厳しい状況に置かれているのは分かるのだが、ここからは「かえトクプログラム」の問題点について指摘していく。
「かえトクプログラム」の問題点 その①『2台目の購入が確定』
「かえトクプログラム①」を適用して割引きを受けるためには、「2年目の端末返却」の他に「auの指定する新機種への買い替え」が条件となっている。
※かえトクプログラム①を選択した場合。
つまり「かえトクプログラム①」の支払い方法を選択した時点で2台目の契約がほぼ確定となり、これにより利用者の選択肢は「auで新機種を購入し続ける」か「端末を全額負担で購入する」のどちらかしか選べなくなる。
【解説】2年後に新機種を買わなきゃいけないが、また割引きを受けるためにはサポートプログラムに再加入しなくてはならない(つまり無限ループ)。サポートを止める場合は割引きが適用されないので結果、端末の「全額購入」となる。
auを継続利用する人にはそれほどデメリットにならないが、他社への乗り換えや、auを解約するときにこれが大きな障害となる可能性がある。 2年後の機種変更時にAQUOS sense3(約36,000円)などを購入して、このループから抜け出す方法もあるが、結局余計な支出を利用者は強いられる、この仕組みを考え出したauの担当者は本当に頭がいいと思う。 |
新機種の購入条件は実質「永久縛り」に当たるため、旧アップグレードプログラムの時に問題視され、「auの指定する新機種への買い替え」は条件から撤廃されたはずだが、「かえトクプログラム」ではそれをまた復活してきた。
旧アップグレードプログラムでは端末を返却するだけでOKだったのに、かえトクでは値引きを受けるために追加で新機種の購入が必要、これが大きく利用者を縛る結果となるはずである。
「かえトクプログラム」のデメリットや注意点 その②『携帯電話会社の販売する端末は割高』
携帯電話会社の販売する端末は、機種によっては希望小売価格よりも高く設定されており、例えばauの「iPhone 11(64GB)」はAppleの公式オンラインストアで販売されているSIMフリーモデルより約8,400円ほど高い値段が設定がされている。
流通にもコストが掛かるためその費用を端末に上乗せ(転嫁)するのは理解できなくもないが、経営状態の厳しい格安スマホでも市場価格より高い値段設定はせずに端末を販売している。
携帯電話会社の販売する端末が高い理由は「元々の値段設定を高くして値引き額を大きく見せる手法」や「実質0円販売をしていた頃の高い端末価格」が関係していると思われるが、端末の値引きを減らすなら、その商習慣も早く見直すべきである。
【まとめ】auの「かえトクプログラム」は本当にお得なのか?
auが2020年2月21日(金)が提供を開始する「かえトクプログラム」について、個人的に調べてみた感想をまとめるとこんな感じ。
①割引きを受けるためには「auで新機種の購入」+「端末の返却」が必要。
②端末の「返却」&「新機種購入」がなければ機種代は全額負担。
③端末を定期的に買い替えさせるためのauの販売戦略。
④液晶割れや故障端末の返却には22,000円の追加費用が必要。
⑤厳しい縛り条件の割りには33~41%という低い値引き率。
⑥条件次第で支払い免除が適用されない可能性もあり。
⑦端末購入の際のユーザーの選べる選択肢(支払い方法や期間)は前より広くなった。
「かえトクプログラム」のメリットとしては2年毎に高額な最新機種を買い続ける人にとっては確かにお得かも知れない。ただそれ以外のユーザーにとって魅力が薄い。
「かえトク」の仕組みや発想自体は悪くないのだが、新しいサポートプログラムが発表されるたび還元内容がどんどんしょぼくなっているので、相対的に利用者の損につながっている。
キャッシュバック全盛期の頃は10万円する端末だって実質「0円」で購入できることもあったのに、現在では購入補助が削減されそれも不可能に。そのわりには通信料金の値下げはあまりされておらず、結果、スマートフォン利用料金が年々高くなっていくばかり。
■端末割引きの変遷→「実質0円(端末は自分の物)」→「実質半額(返却)」→「実質30~40%割引き(返却)」
今後のサポートプログラムは「かえトクプログラム」一本になるようで、携帯キャリアで高額な料金を支払っているのに、端末もSIMロックが掛かっている割高な商品を売りつけられる。
これならMVNOの格安スマホに乗り換えたり、スマホは自分で買ってきて設定したほうが100倍マシなんじゃないの?と最近は本気で思うようになってきました。