日本の携帯電話料金は世界一高いと言われるその真相とは?2018年版

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総務省が2018年9月19日に公表した「電気通信サービスに係る内外価格差調査」にて、興味深い調査結果が発表されました。

■総務省→「電気通信サービスに係る内外価格差調査(PDFファイル 別紙①)

■総務省→「電気通信サービスに係る内外価格差調査(PDFファイル 別紙②)

 

総務省では「東京」「ニューヨーク」「ロンドン」「パリ」「デュッセルドルフ(ドイツ)」「ソウル」の6都市における、携帯電話(スマートフォン(MNO)、スマートフォン(MVNO)、フィーチャーフォン(ガラケー))の利用料金について比較調査を実施。

※調査対象事業者は各都市でシェアの高い上位の通信事業者3社。
※調査時期は平成30年3月時点。
※通貨換算はOECDが公表する購買力平価(平成29年)を用いて比較。

目次

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日本のNTTドコモ、au、ソフトバンク(サブブランドを含む)が提供するスマートフォン利用料金の比較

一見すると日本のスマートフォン利用料金て安いじゃん?と思うかもしれませんが、これはソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルを含めた料金比較で(※今回の調査ではUQモバイルは比較対象に入ってない)、本当の料金比較は下の表グラフになります。

大手携帯キャリアのスマホ料金は世界一高かった?

スマートフォンの利用料金について、NTTドコモ、au、ソフトバンクのメインブランドで比較してみると、月のデータ容量が2GBなら月額料金は東京 5,942円、ニューヨーク 5,990円と物価の高いニューヨークと同水準であるが……

データ容量5GBと20GBプランでの比較では日本の通信料が一番高い

データ容量5~20GBに至っては、月のデータ容量5GB=東京 7,562円、ニューヨーク 5,990円。月のデータ容量20GB=東京 8,642円、ニューヨーク 8,129円と、日本が世界で一番高い料金設定になっているのが分かる。

端末の購入費用も合わせた日本のスマホ料金は世界で第3位

■シェア1位の事業者の料金による比較(通信料金と端末割賦代金が一体
となった料金プラン)

一方で端末の購入費用も含めた料金になると第1~2位がアメリカのニューヨークと韓国のソウル、日本が第3位という感じ。

【参考資料】平成29年度 電気通信サービスに係る内外価格差に関する調査(11ページ目)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000574457.pdf

 

■比較の条件
・ 各都市における最もユーザシェアの高い事業者(メインブランド)のプランで比較。
・ 通信料金と端末割賦代金が一体となった料金プランを前提とし、端末はiPhone8
(64GB)とする。
・ 端末購入に係る頭金や契約後1年間のみ適用される割引など、一定の期間にのみ発
生する費用や割引は、欧米でも主流な契約期間である24か月に均等に割り振る形で、
月額料金に反映。

 

データ通信容量が2GBなら月額6,887円と他の国と比較してもそれなりに安くiPhone 8が利用可能で、光回線とのセット割りが併用可能なら意外と安くスマホが持てるという結果に。

 

しかし年々、右肩上がりで増加傾向にある携帯電話料金の支出

総務省が発表した平成29年版 情報通信白書の「家計調査(総世帯)」によると、世帯消費に占める電話通信料の比率は年々高くなっており、家計に占める電話通信費の平均負担額は2010年に約11万円だったのが2016年には約12万円に増加。

固定電話料の支出は減っているのだが、それ以上に移動電話通信料(携帯電話・スマホ)の額が増えており、ここ10年余り、デフレ下で給料が下がっている時代(2010年以前)でも携帯電話料金の負担額は増え続けています。

【参考資料】平成29年版 情報通信白書「家計調査」

→http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262410.html

4人家族の携帯電話料金が40万円越えの時代へ

2008年の携帯電話料金が月々6,479円(77,759円÷12か月=6,479円)だったのが、2018年は月額8,333円(100,000円÷12か月=8,333円)

※2018年の移動電話通信料はまだ公表されていないが、携帯端末の実質「0円」販売の規制により消費者の通信費負担が10万円を越えているのは確実。

 

もし家族4人全員が大手携帯キャリアの平均的なスマートフォンを契約していたら、通信費は携帯電話料金だけで約40万円になり、2008年と比較すると約9万円の支出増になります。

 

その分、携帯電話会社は売上高が増加する訳だが、その利益は一体どこに消えているのか?

儲けたお金は海外へ

最近の携帯電話会社は儲けた利益を国内の通信インフラ整備に充てるのではなく海外投資に回してるのが個人的には気になるところ。特にソフトバンクグループの孫正義会長は海外の大企業を巨額M&Aで買収し、10兆円単位のお金を世界で投資している。

 

今はリーマンショック以降の大規模な金融緩和で世界は金余り状態。不動産価格と株価の急上昇で世界経済は安定しているが、また金融危機が起こって株価が大暴落した時にその尻拭いするのは結局、国民と銀行になる。

 

 

また国民の世帯消費支出は年々減っているのに電話通信料だけが上がるということは、食品・自動車・家電・保険など他の産業に廻るお金が減るということであり、通信業界以外の企業からも少なからず不満が出ているはず。

 

菅官房長官が「携帯料金は4割下げられる」と発言したのはこれを受けての牽制であり、総務省が忠告しても携帯キャリアが聞く耳を持たないから政府がキレたという構図である。

 

「4割値下げ」という数字は携帯キャリアへのプレッシャーの為に示した数字で、実際の落としどころは2~3割の値下げになると思うが、そこには政治・経済・消費活動と色々な思惑が絡み合っており、深く考えれば考えるほど複雑な内容となっている。

【まとめ】日本のスマートフォン料金は世界一?高いと言われる日本の通信費の真相とは?

■最後にまとめ

今回、総務省が発表した調査結果(電気通信サービスに係る内外価格差調査)において判明したことは、日本のスマートフォンの通信料金は割高だが、端末代も含めた料金で言えば世界の中で突出して高額とも言えない結果となった。

ただ、世帯消費に占める携帯・スマホ料金の支出が年々右肩上がりで増加しており、国民の財産である『電波』を利用した公共性の高い事業なのに他の一般的な上場企業と比較して利益率が2~3倍と異常に高いのもまた事実。

 

2018年3月期決算の営業利益はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で約3兆円にのぼり、これをどう社会に還元して国を発展させるかが重要であり、安倍総理や菅官房長官が携帯電話料金の値下げについて言及したのも、その辺の事情を考慮しての発言である。

 

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