■ソフトバンクの株価下落が止まらない!
国内大手通信会社のソフトバンク(9434)は、8月28日に親会社であるソフトバンクG(9984)が最大で10億2,800万株式、28日の終値で時価総額1兆4,700億円分の株式売出を発表したことで株価が大幅下落。
更には安部首相の辞任に伴い、後任には以前から携帯電話料金の値下げに言及していた内閣官房長官の菅義偉が次期首相候補として名前が挙がったことから、NTTドコモやKDDIなど大手携帯電話会社の株価が急落。
大手携帯キャリアの一つであるソフトバンクの株価は、8月20日に1,500円の高値を付けてからわずか13営業日で150円(−10%)近く株価が値下がりした。
目次
ソフトバンクの株価はいったいどこまで値下がりするのか?今後の株価を予想
ソフトバンク自体は在宅勤務やテレワークの需要増で、新型コロナで多くの企業が打撃を受けるなか、第1四半期決算の内容は前年並みと比較的良好。年間配当も2021年3月期は86円を予定しており、配当利回りも6%超えの高い水準を維持している。
しかし2020年9月7日(月曜日)時点の終値は前日比-15円の1,353円で、終値ベースでは5月27日以来の安値を付けた。
2020年のソフトバンク株価の下限は新型コロナの大暴落+配当権利落ち日の後の4月3日に記録した1,287円、そして5月22日に付けた1,315円が一つの目安となる。
9月中旬以降にソフトバンク株は1,300円を割る可能性大
ソフトバンクは5月22日に親会社であるソフトバンクGが持ち株の5%に当たる2億4,000万株を資金調達のため売却。この時にソフトバンクGが得た譲渡金額は約3,100億円。この日のソフトバンク株は前日比-6%以上を記録し、前日終値1,375円から1,315円まで値を下げた。
そして今回の売り出しにはこの時の4.3倍近い約10億2,800万株、時価総額にして1.4兆円近い株が売り出されるのだから、ソフトバンクは1,300円を割る可能性(1,280円くらいまで想定)が非常に高い。ソフトバンクの株式は9月14日~16日に価格が決定、受け渡しは9月23日~25日に行われるので、ソフトバンク株を買うなら9月の中旬以降、株価が1,300円以下にまで下がるのを待ってから買うのがベスト。
少なくとも9月14日~16日までは株価の上限が1,350円付近でウロウロすると思うので、ソフトバンク株を購入するなら売出価格発表後の値動きを見てから買っても遅くはないと思う。
9月14日(月)にソフトバンクの株価が1,250円を割る
携帯電話料金の値下げ問題でソフトバンクの株価が1,300円を割ることは予測していたが、自民党の総裁選の投票が行われた2020年9月14日(月曜日)に、ソフトバンクの株価が1,250円を割れてしまった。
この日の東京株式市場は、菅義偉氏の自民党総裁就任のご祝儀相場で日経平均は全体的に買いが優勢。
親会社であるソフトバンクG(9984)の株価も、4年前に約3.3兆円で買収したイギリスの半導体開発会社 「ARM」を、アメリカの半導体大手「NVIDIA」に約4.2兆円で売却したことが好感され、前日比+525円(+8.95%)の大暴騰したのに対して、通信子会社であるソフトバンク(9434)は前日比-65円(-5%)の1,242円で取引を終了。
8月19日に1,500円の値を付けたから約1か月で250円以上の下落。上場来安値を更新。1日の出来高が7,500万株と過去最高を記録して、通常であればここで株価が反転するのだがどうなるか?前回の株式売却で5月22日に安値の1,315円(出来高 5,000万株)を付けた時は、ここから上昇トレンドに転換した。
ソフトバンク株を購入する場合は1,200円割れも視野に入れたほうがいい
株価の下落率や出来高を見るとソフトバンク株価の下限は1,250円が一つの目安になりそうだが、KDDIやNTTドコモの株価はチャート的に3月の大暴落の時に付けた年初来安値を更新する可能性があり、ソフトバンクもそれに引っ張られてもう一段下げる可能性が大いにある。
KDDIの株価は3月の安値まで下げる余地があるので、この水準まで通信株が売られたとすると、ソフトバンク株価のは1,180円~1,200円まで下がる可能性あり。
菅さんの件がなければ1,300円を割ったらソフトバンクを強気で買ってもよかったのだが、底値を確認するまでは、大きく買いを入れるのは抑えたほうがいいと思う。
ソフトバンクの売出価格が1,204円に決定
ソフトバンクグループが計画していた通信子会社ソフトバンク(9434)の売出価格が1株1,204.50円に決定。これによりソフトバンク株を売買する時の目安が一つきまった。
仮にソフトバンクの株価の基準を1,200円とするならば、1,200円時点での配当利回りは7.1%(年間86円)、今回の株式売出でソフトバンク株を入手した大口機関や個人投資家は、株価が1,160円(中間配当)、1,120円(中間配当+期末配当)付近まで値下がりしても、半年ほど保有していれば配当と相殺で損失はほぼ±0円となる。
逆に言えばこれは値下がり要因ともなりうるので、10月以降のソフトバンク株は1,200円を割り込んで1,120円~1,160円付近まで下がる可能性がある。
※例えば1,200円で購入した売出株を1,180円で売却して20円の損失が出たとしても、中間配当の43円で約23円の利益が残るのため安値でも株を売りやすい。
今年のソフトバンク(通信会社)は業績も良く優良株なのだが、現在下げてる要因は「携帯電話料金の値下げによる収益悪化」が争点となっているので、高配当銘柄だから1,200円以下には絶対に下がらないといった、過信は禁物である。
【追記】9月29日(火)ソフトバンクの株価が1,200円を割る
配当の権利落ち日である9月29日(火曜日)、ついにソフトバンクの株価が1,200円を割ってしまい、一時ソフトバンクの株価は1,168円まで下落し、2018年12月の上場来安値(1,176円)を更新した。
この日はNTT(日本電信電話)が通信子会社であるNTTドコモ(9437)を4兆円でTOB(公開買付/3,900円)することが報道され、NTTドコモはストップ高(2,775円→3,213円)で取引を終えたのだが、KDDIとソフトバンクの株価は、国が大株主であるNTTがドコモ経営主導権を握ることから「携帯電話料金の値下げ議論」が加速する懸念から配当落ち以上に株価が下落してしまった。
事前に権利落ち日後に1,200円前後まで下がることは予測していたが、たった1日で上場来安値を更新するまで下がるとは思わなかった……。
ソフトバンク株は半年程度なら長期保有を視野に入れてもいいかも
今回の下落でソフトバンク(9434)の株価は1,191円、配当利回りは7.22%を記録と比較的業績が安定しているディフェンシブ銘柄としては、非常に魅力的な水準にまで株価が下落してきた。
現在の通信セクターは「携帯電話料金の値下げ」という特大の悪材料があり、大きく買いポジションを持つのはまだ早いが
ソフトバンクは10月1日から2021年3月31日まで「1,000億円(発行済み株式の1.68%)を上限とした自社株買い」+「日経平均225に採用」が決まっているので、その反発を狙って半年程度なら株を購入してもいいかも知れない。
ただし株価が1,000円割れを起こすリスクも想定しておいたほうがいい
ソフトバンクに限らず通信セクター全体で将来の業績見通しが不安定で、携帯電話料金の値下げ幅次第では株価が1,000円を割る可能性もあるので、ソフトバンク株を新規に購入する場合は注意が必要。
菅義偉総理大臣誕生後、携帯電話料金が値下げされた後のソフトバンクの予想株価は1,000円~1,200円前後。仮に配当が現在の半分、40円まで減配されたとすると、株価が1,000円(配当利回り4%)を割る可能性も十分にありえる。
— ソフトバンクくん @格安スマホ情報局 (@wimax_jp) September 14, 2020
株価1,000円割れは一番最悪なケースを想定した場合で、過度に心配する必要はないのだが、現状、ソフトバンク株が1,000円を割ることは100%絶対ないとは断言できないので、SB株を長期で保有するなら、この辺も視野に資金に余裕を持って取引するといいでしょう。
ソフトバンクは5G需要や、市場価値が800億ドル以上といわれるIoT技術の普及で売上高が5年単位で成長拡大、新型コロナが収束するまでは営業利益1兆円の目標達成は厳しいかも知れないが、長期的に見れば株価が1,500円~1,800円前後まで上がってもおかしくはない銘柄なので、現在含み損を抱えている株主は、根気強くSB株を保有するようにしましょう。