世間では新型コロナの影響が残るなか、ソフトバンク株式会社(通信会社)の2020年3月期の決算が5月11日(月曜日)に発表された。
→https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200511_03/
目次
ソフトバンクの2019年(連結業績)売上高は前年比+30%増
通信会社としてのソフトバンク株式会社の2019年度の売上高は前年比+30%増の4兆8,612億円となった。Zホールディングス株式会社(旧ヤフー株式会社)の遡及前の売上高と比較しても前年比+4%増の売上高となっている。
【補足説明】Zホールディングス株式会社とは、ソフトバンクグループ傘下の日本の持株会社。2019年10月1日にYahoo!を中心としたグループの再編を図った持株会社体制への移行が行われ、この時にヤフー株式会社からZホールディングス株式会社に商号が変更された。
Zホールディングス株式会社の主なグループ企業としては、アスクル、GYAO、ジャパンネット銀行、ZOZO、PayPay、ワイジェイカードなどが挙げられる。 |
営業利益は+27%増の9,117億円
営業利益も前年比+27%の9,117億円(Zホールディングス遡及前の比較だと+11%増)
2~3月にかけて起きた日本国内での、新型コロナ感染拡大による悪影響も見られず、Yahoo!、流通、法人、コンシューマーの全事業で増益となっている。
ソフトバンクの純利益は4,731億円
2019年度のソフトバンク(通信会社)の純利益は4,731億円、新型コロナによる本格的な影響が懸念される2020年度の予想純利益も4,850円(前年比+3%)で、通信部門への影響は比較的に軽微である。
ソフトバンクの配当金は10円の増配
これを受けて2020年3月期のソフトバンク配当は前年比+10円の85円。更に来年2021年3月期の配当も1円増配の86円を予想している。
決算発表後のソフトバンク株価
決算発表後の2020年5月12日(火曜日)のソフトバンク(通信会社)株価は前日比-20円の1,450円で、ソフトバンクの株価は新型コロナで下落する前の水準にまで持ち直している。
この日の日経平均株価は約20,400円で、この直近1ヵ月では高値水準。
翌5月13日(水曜日)のソフトバンク株価は前日比-24円の1,432円。決算発表後に2日連続の下落だが、これにより配当利率は5.59%の高値となっている。
目下、新型コロナの影響次第で更なる株価の下落と、親会社であるソフトバンクGの業績悪化によるリスクが予想されるが、ソフトバンク株は1,350円~1,400円を割ったら、配当目的で長期保有を視野に入れて購入してもいいかもしれない。
ソフトバンク通信部門の売上高
ソフトバンクの屋台骨である通信部門(コンシューマ事業)の売上高は前年比+4%増の2兆6,967億円を記録。スマートフォンの割引き販売規制のため、携帯端末の売上高は減少したが、通信サービス(モバイル+ブロードバンド)全体の売上高は順調に伸びている。
ソフトバンク傘下のワイモバイルは回線契約数が500万件を突破
ソフトバンク携帯のサブブランドとして格安スマートフォンサービスを提供しているY!mobile(ワイモバイル)の累計回線数が2019年度に500万回線を突破した。2016年頃のワイモバの契約者数が200万ちょいだったので、この3年間で約2倍に契約者数が増えている。
2018年にソフトバンクに買収されたLINEモバイルの回線契約数も2年で2倍超に伸びているので、大手の携帯電話会社から格安スマホへの移行が、徐々にではあるが、確実に進んでいるのが分かる。
スマートフォンの累計契約数は全ブランド合計205万件(+9%)の純増
2019年度(2020年3月期)のスマートフォン累計契約数はソフトバンク、ワイモバイル、LINEモバイル全てのブランド合計で前年比205万件(+9%)の純増を達成。
スマートフォンの解約率は過去最低の0.70%
スマートフォンの解約率は過去最低の0.70%を記録、ただし近年続く解約率の低下は「端末の値引き販売の規制」や「高額キャッシュバック禁止」による弊害であり、消費者の乗り換え(流動性)の低下とも言える。
ソフトバンクの「5G」は2021年以降に本格展開
2020年3月に商業利用が開始されたソフトバンクの5G回線は、まずは2020年末に基地局数1万局以上を目指し、本格的な全国展開は2021年度末(人口カバー率90%超え、基地局数5万局以上)になる模様。
通信会社ソフトバンクの設備投資額は年間3,500億円(2017年)、3,800億円(2018年)、3,700億円(2019年)で推移。5G対応のスマートフォンや携帯電話を購入するなら、基地局が全国に整備される2021年以降になってからでも遅くはない。